自分の為の転記2
やる気が削がれないよう、
サロマ100キロ完走日記を転記しておく。
この時って髪の毛短いなぁ〜
ん、
腐女子だってやるときゃヤルのよ。( ˘ω˘ )
---以下転記
サロマ湖100キロウルトラマラソン当日】
ヘタレちゃんの私でもここまで来たら、まな板に鯉状態、もう観念するしかない。前夜寝る前に、故障中の恥骨&坐骨神経、痛くなる可能性のある両膝、両ふくらはぎにテーピングをほどこした。テーピングの上からcw-xのロングタイツを履き、痛み止め2種、麻酔錠、バンテリンスプレーをウエストポーチに入れた。55キロ地点に預ける荷物には、着替えと靴下、替えのシューズ(もちろん厚底ブーツではない。)3000円のユンケル、ウィダーインゼリー、テーピング用テープ、シップなどの他、充電切れの可能性があるため友人から借りたガーミンやi-podも入れておいた。i-podには私が1週間も前から選曲した「いきなりハイテンションなれる曲」がジャンルに関係なく入っている。どの曲も聴いたらノリノリになってしまうテンポのいい曲ばかり。時間は制限時間の半分ぴったり6.5時間分。レースの時には音楽を聴かない私だが、55キロ地点でヘタレた場合の起爆剤として用意したものなのだ。
完走する自信がまったく無いまま、ずうずうしくもスタート地点前方付近に並ぶ私。スタートは早朝5時。サロマ湖100キロウルトラマラソンの制限時間は13時間。1分、1秒がすごく大事なのだ。少しでも前に並んで時間の節約をしなければならない。
--- 【スタート〜55キロ】
スタート時の天気は曇り。コース前方数メートルは霧の中だった。最初の作戦は42.195キロフルマラソンの関門時間5時間30分後よりも1時間速い4時間30分で走り切ること。ペースはキロ6分20〜25秒だ。これ以上速くても、遅くてもいけない。速いとのちにスタミナが持たなくなるし、遅いとその後の関門時間が厳しくなってしまう。今までのフルマラソンでは、こんなに慎重に作戦を立てて走ったことはないのだが、「さろま〜ん」にとり憑かれ、すっかりヘタレになってしまった私にはこれしか方法がなかったのである。
ガーミンを見ながらキロ6分20〜23秒のペースを保つ。スタート前に市販の痛み止めを飲んでいたために、恥骨&坐骨はまだ痛くはない。いたって快調だ。だが霧で景色が見えないためか、走っていてもなんだかつまらないのである。困ったことに、早くも集中力散漫である。しかも30キロから40キロにいたっては、なんとあまりのつまらなさに、もう辞めたくなってしまったのだ。それでも、「あ〜、まだ30キロ地点だよ...。あと70キロもあるし...。うわっ、70キロってなんだよー」などど一人つっこみを入れつつ、なんとか走っていたのだが、いかんせんつまらない。頼みの綱のランナーズハイも来ないままなのである。
そんな時、遥か前方にミニ傘帽子をかぶったサロマ名物サロマンブルーのおっちゃんを発見♪このおじちゃん、サロマ湖100キロウルトラマラソンのHPに載っている有名なサロマンブルーのランナーさんで、なんと頭にミニ傘が開いた状態の帽子を被っているのだ!目立つったらありゃしない!(笑)私はHPで写真を見たときからこのおじちゃんが気になって、気になってしょうがなかったのだ。さっきまでつまんないモードで走っていたくせに、おじちゃんの登場でいきなりハイテンションだ♪おじちゃんを目指し、ノリノリで追いかける私。おじちゃんはキロ7分くらいのペースでゆっくり走っていた為に、私のペースをあまり乱さずに、40キロ付近でおじちゃんを捕まえることに成功したのだ!
「いつもお写真見ています!今日のお天気(霧雨)にも、その傘は最適ですね。^^」と声をかけると、おじちゃんはニコーッと笑ってくれて、いろいろお話しながらしばし一緒に走ることに成功〜♪おまけに初めて100キロにトライすることや、サロマ湖100キロウルトラマラソンの為にアメリカから来たことを話すと、「初めてにしてはなかなかいいペースですよ。その調子で行けば大丈夫ですよ。」とお褒めの言葉まで頂戴し、かなりご機嫌になる単純な私。(笑)
その後はおじちゃんよりも私のペースの方が若干速い為に、お互いの健闘をたたえお別れし、今度は若いイケメンランナーを見つけては話しかけるといった、お得意技走法で足を進め、(けしてナンパではない。)気がついたらなんと42.195キロ地点を過ぎていた。(笑)タイムは4:40:43。しゃべりながら走っていたので計画よりも10分も遅い通過となってしまったが、楽しかったので、「まあいいいか〜^^」だ。早くも「慎重な計画」は崩れてゆき、私らしさの「いいかげんさ」が頭角を表してきたようだ。
50キロ通過タイムは5:34:59。
「慎重な計画」から4分59秒遅れで50キロを通過するが、50キロ手前付近でトイレに行ったロスが5分あるため、「慎重な計画」どおりということで、ニヤリとする私。
55キロレストステーション到着。
ここでおにぎり3個、ウィダーインゼリー1個、バナナ2個、爆食タイムである。(笑)
なんとそんなに空腹感を感じていなかったにもかかわらず、おにぎりを1個口にしたらいきなりスイッチが入り、止まらなくなってしまった。実はお腹が空いていたようだったのだ。さらに預けていた荷物から3000円のユンケルを取り出し一気に飲み干し、足の裏が痛かったので厚手の靴下に取替え、坐骨神経や膝にバンテリンをふりかけてマッサージをしていたら、なんと20分も経過してしまったのだ。雨が降ったらいけないと、あわててウィンドブレーカーを腰に巻き出発するも時すでに遅し、60キロ関門まで50分近くの貯金があったのに、20分もレストステーションで使ってしまった為に、30分しか貯金が無くなってしまったのだ。食べ物で身を滅ぼす。。。いかにも私らしいが、こりゃいかん!
--- 【60キロ〜80キロ】
関門貯金を30分まで縮めてしまった私の60キロ通過タイムは7:02:48。午後12:02分
60キロ関門時間は7:35:0。午後12:35分だったので、関門閉鎖時間の33分前に60キロを通過したことになる。貯金が3分増えて、33分になった。^^60キロからは市販の痛み止めではなく、医師から処方された痛み止めを飲んだ。練習時にはどんなに痛くなろうとも、これらの痛み止めは一切飲んではいない。この日、サロマ本番の為に痛み止めをとっておいたのである。60キロも走っていると流石に恥骨も坐骨もブツブツと痛みを訴えてきたので、大人しくしてもらうためには飲まざるおえないのだ。痛み止めを飲んで、スペシャルドリンクとして預けたコーラ&眠気さましカフェインドリンクを飲んだとたんに、急に元気になってしまった。i-podの音楽も手伝ってもうノリノリ状態。いきなりのランナーズハイがやってきた。
60キロから80キロ地点でこんなにノリノリになるとは思わなかったが、もうどこまでも、いつまでも走っていられそうなくらいに体が軽いのだ。この地点になるとずいぶん歩いている人も多く、何人抜いたのかもうわからないくらいのゴボウ抜き。気持ちいい〜♪
背中に「凡」と書いてあるオレンジのTシャツを着た若いおねーさんもランナーズハイが来ているのか軽快に走っている。その背中の「凡」の字を目指し、私も追いかける。追いつく。追い越す。また抜かれる。追いかける。追い越す。いつの間にか「凡」のおねーさんと私の一騎打ちになってしまった。(笑)
70キロ通過タイム8:15:10。(関門閉鎖30分前)
70キロ付近で2回目のおトイレへ行ってしまったために、「凡」のおねーさんとの勝負はここまでで終わった。最後はおねーさんの勝ちだったような気がする。
ランナーズハイが切れ掛かり、なんだかまたつまんないなぁ〜と集中力が散漫になってきた80キロ付近にて、折り返しゴールへ向うTomokoさんとすれ違いまた元気を貰う。^^
80キロ通過タイム9:27:54。(関門閉鎖33分前)
--- 【80キロ〜100キロ】
<天国のような景色の地獄、ワッカ原生花>
80キロを通過するとなんと、今まで過去に痛くなったことなどない左膝がすごく痛くなってしまった。「いだだだーっ!」もう涙目だ。これは今まで飲んだ痛み止めじゃ効くわけない痛みなので、とりあえず医師から処方された麻酔錠を口にほおりこむ。イヤだ。絶対に止まりたくない。歩くのもイヤだ。なにがなんでもゴールまで行きたいのだ。
お願いだから薬よ、効いておくれ。ここまで走ってくれた脚よ、どうもありがとう。。。でもあと20キロ。もう少しがんばっておくれ〜心の中でこんな言葉をつぶやきながら左膝をなでる。(;.;)
走りながらバンテリンを膝にかける。赤やオレンジの花が咲き乱れる美しい景色のワッカ原生花が、三途の河を渡った後の天国に見える。遠くに見えるオホーツク海が三途の河かしらん?天国行きか地獄行きかを決める閻魔大王は、さしずめ90キロ関門に立っているおじちゃんってとこだろうなーなどど、心で思いつつ麻酔錠が効くのを待つ。
が、麻酔錠はまったく効く様子がなく、左膝の痛みは増すばかり、バンテリンをシューシュー吹きかけながら走る私の姿はかなりおかしかっただろう。バンテリンの吹き煙で私の回りは強烈な匂いになっていたのだから。バンテリン臭の中から回りを見渡すと、ほとんどのランナーが歩いているのに気がついた。80キロの関門を過ぎてしまえば、90キロ、100キロまでの関門閉鎖時間は1時間30分に延びるのだった。この関門ペースだとキロ9分。歩いてでもゴール出来るってワケなのだ。
私はどんなに痛くとも歩くのはイヤだった。
ノロノロでも走っていたかった。走って100キロを完走したいという思いがあったので、膝をひきずりながらもゆっくり走っていた。残りあと15キロ地点、もう一錠、麻酔錠を飲む。しばらくするとやっと痛みが和らいで、なんとか自分のペースであるキロ7分くらいまで走れるようになった。そんな時にジョグノート仲間のぐっさんとすれ違い、ここでも元気をもらう♪
90キロ通過タイム10:40:43。(関門閉鎖50分前)
この時点で左膝が痛いというだけで、体力的には全然余裕だった。恥骨も坐骨神経も痛くはない。ゆっくり走っているせいか呼吸もおだやかだ。左膝も少しは薬が効いたのか、さきほどのような強い痛みはなくなりつつあるし、あと残り10キロラストスパートすることが出来るかしら???どうしよう...やってみるか...。村上春樹さんの本に書いてあったようなゴボウ抜き、ぜひやってみたいなぁ。うーん、どうしよう...。えーい、やってみよう!
90キロを通過した時点で私の脳ミソの回路が切れてしまったのか、残り10キロを全力で走ってみたいと思ってしまったのだ。今まで走った時間10時間40分。体力も限界だというのに、私の頭の中にはゴボウ抜きをしてみたい気持ちでいっぱいだったのだ。ウエストポーチに入っている飴を口にほおりこみ、全身に力を込めて走り出す。体全部を前傾姿勢にしてダッシュをかける。するとさっきまでノロノロだった私の足はあきらめたように走り出す。スピードに乗るまでに時間はかからなかった。あっという間にキロ6分くらいまでスピードは上がった。すごい!やれば出来るじゃん!がんばれ脚くん達よ〜!流石にキロ5分台までのスピードは出ないものの、キロ6分から6分半でも回りのランナーをごぼう抜きすることが出来た。わーい! わーい! 調子に乗って走っていると、なんと、とんでもないことが起きたのだ。
「バキッ!」!!!!
さっき口にほおりこんだ飴を無意識のうちに噛んでしまったその時、なんと私のクラウン(差し歯)が割れてしまったのだ。 ガーン!
「えぇぇぇぇぇー!!!!」
口に手をやると無残にも割れてしまったクラウンの破片が唇にくっついているのがわかった。走りながら何事もなかったように、クラウンの破片をウエストポーチにしまう私。。。
「もしかして...今、私、歯抜けなんだよなぁ...しかもこのクラウン、$1000以上したのよねぇ...。」
うわー!
これから念願のゴールテープを爽やかな笑顔で切ろうって時になんてことをー!
うわー! こりゃあ大変だ!
うわー! 早く帰って歯医者さんに行かなければっ!!!(><)
...もちろん早くゴールしたからといって私の主治医が北海道にいるわけがないのだが、この時は疲れの為なのか?支離滅裂な考えしか浮かばず、何故か一刻も早く帰って歯医者へ行かなくては!と思い込んでしまったのだ。
スペシャルドリンクの空コーラのペットボトルを片手に持ち、(ゴミ箱が無くて80キロからずっと持っていた。)口に手をあて走る様はなんとも滑稽な姿だが、ここからの私のスピードはすごく速かった。念願のゴボウ抜きは、何人抜いたのかわからないほどだった。が、そんなことより早く歯医者に行かなくてはという思いがすごく強かった。
ゴール手前1キロ付近、沿道の人々が声をかけて応援してくれる。
が、そんなことより早く歯医者だ!
ゴールゲートが見えてきた。
が、そんなことより早く歯医者だ!
ゴールテープを切ってゴールする。
あ、ゴールしたって歯医者はいないジャン!(ここで正気に戻る)
と・とりあえず両手を挙げて笑わなくっちゃ!
ゴーーーーーーーール ♪♪♪
※ゴール後、クラウン負傷の他に、麻酔錠の飲みすぎでゲロゲロになり、カニやホタテ三昧だったであろう宿の夕食が食べれなかったことは言うまでもない。
(-_-)チーン
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練習不足の私が11時間45分で完走できた勝因は、やはり100キロという未知の距離にチャレンジするにあたりヘタレちゃんになって慎重になったことだと思う。練習時も痛くなったら無理をせず、練習を休み休息日にした。完走できないかもしれないという思いから、最後の10キロまではけしてスピードを上げなかった。慎重にレースタイムテーブルを作り、表にしてゼッケンにくくりつけ、その通りに走った。走行中は何度もその表を見て、遅れているようならすぐに修正タイムを頭で計算しなおした。後はやっぱりクラウン負傷ダッシュ...。まあそんなところだろう...。(笑)
でも一番の勝因はジョグノートやラン友達の皆さんの応援だったと思います。ニューヨークで応援してくれたラン友さん達。メール応援をくれた友人。皆さん、本当にありがとうございました。
--- サロマ湖100キロウルトラマラソン完走タイム 11:45:13。[2009年7月13日(月) 13:14]